2017年6月13日火曜日

「サヴァイビングカスライフ vol7 (ライブ喫茶亀 メルマガ4月号)


「水がいっぱいある」のが好きなので、
浄水場なんかを見てると無条件で上がる。
それ関係の求人を探してみたこともあるが、
湿度に比例した陰湿ないじめなんかもありそうだし、
そもそもカテゴリーが公務員だ。
もしこの先、声が潰れ、人前に立つ今の仕事が出来なくなり、
それからでもなんとかなるのなら水を眺めて暮らせたらいいなと思う。

雨上がりの街を見るのも好きだ。
先日、音楽の仕事で神戸まで18きっぷの鈍行で10時間かけて向かった際、
岐阜県大垣市を過ぎたあたりで品川から降り続けた雨が切れ始めた
時間的にも夕方前だったので、旅の疲れも相俟ってディストピア小説にしおりを挟み、目に入る、あるがままの外を見ていた。
湿った屋根、セール品のカゴを陳列し出す商店街、荷物になってしまった傘と談笑、ため息をする様に霧を吐く山の連なり。
校庭では部活帰りの水たまりがまたがれていた。
つかの間の湿地帯となった里山を見ていると、無条件でそこに暮らしてみたくなる。
通り過ぎるだけの薄い関係で、いつもと違う空間の、いつもと違う瞬間だけを見させてくれる。
恥ずかしいスイーツな言葉をあえて使うと、それが「雨の魔法」だ。

そういえば小学生の時、ひどい洪水があって街が水浸しになったことがある。
避難、救助の大騒ぎが寝静まり、深夜に市民会館を抜け出して見た神話めいた世界を今でも覚えている。

もちろん、川や池、湖なんかも大好きで、
なにかが居そうな気がする」水の一番の魅力がそこにある。
深ければ深いほどいいし、ちょっとした防火池なんかでも、もちろん良い。
水面それ自体の美しさというよりも、その下に広がっているであろうワールドに、
 一体何があって、ひょっとして何かが生きていて、なんて想像の余地がどこまでも許されているからだ。

先日、カワウソについてのシンポジウムへ行った。
絶滅してしまったニホンカワウソを主題に、世界的にも数が減少している野生動物について考える会だ。
実家がクソ田舎なので、近所の川でオオサンショウウオを発見、抱えた上に放り投げて遊んだ。なんていう超牧歌的なエピソードを友人から聞いたことや、猿の出現で急遽集団での下校が宣告されたことも一度や二度ではない。
蛇やタヌキ、イノシシなんかも身近に生きていて、カワウソについても興味があった。

日本では1979年の高知県での目撃を最後に、生きたカワウソの目撃情報はない。
かつては河童のモチーフや、民話(カワウソに騙される、カワウソが恩返しとして魚を持ってきてくれる)にも多く登場する、「どこにでもいる」身近な動物だったらしい。
駆除など、絶滅の原因についても色々な話が聞けたが、なるほど。と思った原因の一つに「無関心」が上げられた。
高度経済成長期の日本では、水俣病に代表される大企業による公害が多発するなど、
人権を蹂躙し人間よりも経済発展を志向した時代情勢に「(当時は)どこにでもいた」生き物の存亡に注意を払う者は、少なかった。
加えて養殖関係の仕事をしている方々からしてみれば、カワウソは育てている魚を食べてしまう害獣であり、「悪い生き物」として駆除の対称に捉えられてしまっていた。

シンポジウムでは、何度かあった「救えたチャンス」についても語られた。
結果としてニホンカワウソは30年間の目撃情報ナシという環境省の判断基準により2012年に絶滅の宣言がなされてしまったが、韓国、シンガポールなどでは現地の専門家やNPOの活動で、徐々に生息域が広がってきており、環境の変化にある程度までは柔軟なカワウソの姿が都市部の河川などで目撃されてきている。
それらのカワウソは分類的に言うとユーラシアカワウソという種類で、ニホンカワウソによく似たDNAを持ち、日本での再導入(放流)も可能ではないかという研究が現在なされているそうだ。
上記の例に倣い、日本でも都市部限定でそれを行うことで、害獣としての被害も抑えられるという。リアリティのある話だ。

しかし、ここに於いても大きな問題は「どっちでもいい」という世論が未だ大きな割合を占めているということだ。
記憶に新しい多摩川アザラシなどの様に、動物を可愛いものとして享受する余裕のある思考は当時(1945年以降)に比べてはあるものの、未だに「誰かがやれば」の域を出ていない。
専門家である安藤元一教授の、
「今更な言葉ですが、敢えて言います。やりますか?では、いつやりますか?今でしょ」という言葉が鮮烈に響いた。

水好き、川好きを自負している自分としては「居ても居なくても」というのなら居た方がいいに決まっていると思う。
そうすれば水辺はもっと楽しくなる。
「何かが居そうな気がする」に「カワウソが居るかも知れない」が加わる。
とても素敵なことじゃないだろうか。



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